徳島 21番札所 太龍寺遍路道「かも道」
夫婦で山歩きホームページトップへ

行程
 2013年2月17日  
  徳島市内=一宿寺-(かも道)-太龍寺--舎心ヶ嶽--太龍寺-(かも道)一宿寺=徳島市内
          ~9:00      12:15-12:40  13:00-13:50  14:05         15:30


カシミールとGPS

阿南市のパンフレット
ひょんな事で目にした阿南市の公報誌に四国遍路道で最も古いらしい「四国遍路21番札所の太龍寺への“かも道”」が紹介されていました。 地元の有志の方達が道を発掘整備され、阿南市の文化振興課の学芸員の方が調査されているようです。これは行ってみないとなりません・・・というわけで昨日(2/17)に出かけました。
空海が修行中に太龍寺へと登る前にひと夜を過ごしたとされる「一宿寺」から約4.4Kmの道が「かも道」らしいと、カーナビに「一宿寺」を設定。案内に従って曲がりくねった狭い道に案内されました。


一宿寺

ツアグループ

入口
さて車をどこに置こうかと悩み始めたところで、前方にハイキングスタイルのグループがおられます。 早速、お声をかけさせて頂くと、なんと阿南市の「かも道」紹介ツアでした。学芸員の方、地元の方達がガイドをしてくださるツアとの事。 飛び入り参加をお願いし、大慌てで指示された場所に駐車して合流させてもらいました。
参加者は20人ほどおられたでしょうか、約4.4Kmの古道に残る丁石、観音像を奉っていた石室の解説、空海とかかわる伝説などを聞きながら、3時間ほどで太龍寺まで登りました。ここでお礼を言ってグループから外れ、私達は本堂・大師堂などに参拝してからその先の「舎心ヶ嶽」へと移動しました。

石室

基台

基台?石室?

丁(町)石

刻印の拓本

かもの刻印
さて、この「かも道」の名前です。本道と若杉集落から太龍寺へ向かう太龍寺道(遍路道)との交差地点に立つ道しるべに刻銘されていて、太龍寺所蔵の絵図等にも記述されている事から、阿南市地元で「かも道」の名称を復活・命名されたようです。 四国遍路の元祖といわれている江戸時代の僧侶、宥弁真念の「四国遍路道みちしるべ指南」に「かも道」が記載されているそうです。
道沿いの丁石は高さ1mほどで尖頭方柱形式というらしい。鎌倉時代から使われだした五輪卒塔婆を簡略化したものではないかとの事。 拓本にて読み取ると、「貞治 」という元号が刻まれており、「貞治」とは北朝側の年号、この地域は北朝側の影響下にあった事がわかるとの解説でした。徳島の西の祖谷、剣山地域は南朝方の山岳武士がいたから、当時の阿波でも南北朝に分裂していたようですね。この年号で 四国遍路が定着する江戸より前からの古道であり、古い丁石が残っているのは四国遍路道でも「20番札所鶴林寺道」とこの「かも道」の2ヶ所だけらしい。

分岐 道案内

五輪卒塔婆形

空海飛翔の石

空海が止めた大岩

にじり石
伝説、言い伝えの石です。空海が石の窪みに杖を突き鶴林寺まで空を飛んだ場所。上から転がってきた大石をこぶしで止めた跡のある石。
そして一宿寺からにじり登ってきた「にじり石」、この石が太龍寺に到着すると日本沈没はおろか地球がどこかに埋もれるらしい。
「かも道」の登り始めは竹林、学芸員さんいわく「青の道」。植林帯を抜けて雑木林に入ると紅葉のきれいな「赤の道」。その先は石灰岩を切り出した「白の道」だそうです。
歴史の積み重ねが感じられ、風景もまた変化あって、楽しい道でした。

青の道

赤の道

白の道
所々で斜度のある「木馬道」がクロスしていました。ここら辺りは石灰岩、大理石の産地だったので、その積み出しに使ったとの事。
阿南市はかって全国有数の大理石の産地であり、国会議事堂の内装とか上野の国立博物館本館の階段や壁面にも使われているらしい。
石灰は江戸時代には肥料などにも使われ、更に古くは土と混ぜて古墳とか城などの建材にも使われたらしい。
麓の加茂には、太龍寺所有の田があって一宿寺の直下に太龍寺の米蔵があったそうで、昭和年代まで専属の担ぎ屋さんが俵を背負って運んだとか。少なくとも鎌倉時代の古文書には太龍寺領の荘園が出てくるらしい。
この辺りは石灰、大理石そして古代には極めて大切な素材であった辰砂「丹」の産地だし、寺領での労働・寺大工などの需要もあって、昔から豊かだったのではという印象を受けます。

しっかりした土橋

石室、基台から
一時避難の観音像

石灰岩

ケショウマイマイ
話かわって、貝の話。ツアに佐那河内ネイチャーセンターの学芸員さんもおられました。貝の専門家。先日、この付近で直径約3.5mmの新種のカタツムリを発見されたばかり。この時も、小さな貝を見つけておられました。石灰岩地帯に生息する「ケショウマイマイ」というカタツムリだそうです。


山門

仁王像

仁王像
さて20番札所の鶴林寺をまわったあとの次の太龍寺道そして太龍寺から23番札所の平等寺へ降りる道と合流すると山門です。
そこには仁王像。徳島県下で最大で最古のものらしい。運慶作ともいわれているらしいが、それにしては保存状態が?、国宝にも指定されていないようですが、片方の仁王像は左目が真っ黒の空洞、迫力あります。
昨年の台風で大木の杉に直撃された本堂はきれいに修復されていました。
本堂の下のロープウエー駅から淡路島、鳴門大橋が望めます。

修復された本堂

鳴門大橋

空海像

山さきもり

展望
更に奥に進むと空海が修行したという南舎心ヶ嶽です。ここに大きな空海像が太平洋を見て座っています。道を挟んでその反対側には2010年にできたらしい現代彫刻「山さきもり」が置かれています。この像の意味合いはなんでしょうねえ?
ここでお弁当をとりながら展望。遠くに見えるのはおそらく高丸山、雲早山でしょうか。