青森 岩木山、八甲田山
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 青森から関東へ南下しながら東北の山歩きをしようと何度か計画。横浜から転居する前の年にも企画したが、どうしても都合がつきませんでした。何度目かの正直・・・この年末で失効するJALマイレージの有効活用を兼ねて、岩木山と八甲田山を訪問。ところが、なんと大陸から舞い戻った台風15号の直撃に重なってしまいました。

行程
    9/13 徳島空港=羽田=青森空港=三内丸山 縄文遺跡=岩木山の麓 百沢温泉

    9/14 百沢温泉=岩木山八合目(登頂断念)=ミニ白神−森林の散策=酸ヶ湯
           7:45        8:15-8:45          9:30-11:45
    9/15 酸ヶ湯−仙人岱ヒュッテ−大岳−−大岳ヒュッテ−−上毛無岱−下毛無岱−酸ヶ湯
           8:05   10:10    11:15-11:40 11:55-12:30                 14:33
          酸ヶ湯=奥入瀬=十和田湖
          15:10        17:00(1時間散策)
    9/16 十和田湖=奥入瀬=ネブタ会館=雪中行軍 遭難資料館=青森空港=羽田=徳島空港
          7:45                                  〜18:00

○9/14 雨の中の岩木山
・コースと概要  以下、クリックで地図、写真拡大します
 青森到着の日は三内丸山の縄文遺跡を見学して、岩木山山麓の百沢温泉に宿泊。翌日は前日と打って変わっての荒天。中国大陸に行った筈の台風15号が低気圧になったとはいえ、90度折れ曲がって東北を直撃。未練たらしくスカイラインを8合目まで行きましたが、登頂は断念。

・前日の9/13に訪問した麓の岩木山神社です
 津軽富士というには山頂が凸凹してますが、北側から見ると富士山のように三角錐になるようです。岩木山神社の鳥居から一直線に本殿そして岩木山が並んでいます。ご神体が山そのものというイメージが伝わってきます。参拝途中で地元の方に詳しい話を教えて頂きましたが、地元では<お岩木さん>、あるいは<お山>と呼ばれて信仰の対象で、8月には大きなお祭りがあるそうです。山の神様は女性の神様のようで、地元の男性は登頂して、「はづー、来たぞー」と叫ぶそうです。
境内の途中の石垣に天と下を向いた面白い狛犬を見つけました。石垣の柱に抱きついています。
神社としての歴史は古いようですが、神仏混淆の時代には百沢寺と一体になっていたとの事。津軽藩が建立・整備したようです。もっとも地元の方は官製の方は嫌って、昔からのお山信仰で参拝していたとか。
本来の祭神は、岩木山そのものを神格化した神様でしょうが、縁起には、「顕国魂神(=大己貴命)、多都比姫神、大山祇神、坂上刈田麿、宇賀能賣神、大山咋神」となっているようです。明治政府の神仏分離令の後、国家神道で祭神が滅茶苦茶になっている例もあるし、よくわかりません。なんと山椒大夫の安寿姫も祭られているとか。

・そして9/14、雨の中を岩木山へ・・・登頂を断念しミニ白神の散策

8合目レストハウス

スカイライン ぶなの泉
翌日は朝から雨。諦めきれずに岩木山スカイラインを8合目まで行きましたが、風を遮る森のない8合目からは吹きさらしの状態。登頂を断念し、レストハウスのおばさんに手軽に行けそうな場所を教えて頂く。スカイラインをおりて、岩木山の麓を周回しているネックレスロードを少し西に行った鯵ヶ沢町のミニ白神を紹介してもらった。世界遺産の白神から約20km北の位置にあります。
約50ヘクタールあり、白神山地の特徴であるブナを主とする天然広葉樹林帯に遊歩道がつけられています。樹齢200年を超えるブナも多いとの事。藩政時代に田園の水を確保するための禁伐林として大切に守られ、明治以降は山は国有、木は地元民のものという「官地民木」の全国的にも珍しい形態で保護されてきたそう。 総合案内休憩所の「くろもり館」には展示室や休憩室もあり、ガイドさんもおられました。

くろもり館

ミズナラの巨木
・ミニ白神から東へ、八甲田山の麓の酸ヶ湯を目指す
ミニ白神を出て再びネックレスラインを東に戻ります。途中の道路の両脇には幟を立てた店があちこちにあり、トウモロコシを売っています。こちらでは、トウモロコシを嶽キミというらしい。茹でたの、焼いたの、どちらもその場で食べることも出来ます。

嶽キミを味わった後は、激しくなる雨の中を八甲田山の酸ヶ湯へと向かいました。
酸ヶ湯に到着しましたが、宿の前に停めた車から出られないほどの激しい雨です。宿に入ってみたテレビで青森に洪水警報が出たとの事。とういわけで、当日は酸ヶ湯周辺の写真を撮す余裕もなく、下の写真は翌日に撮ったものです。

駐車場から本館

中庭

下山時に見下ろした全景

朝食

夕食は部屋食

千人風呂

中は撮影禁止
標高は800m〜900m、湯治用の別棟がいくつもある大きな宿です。廊下と階段が迷路のような本館でも迷ってしまいそう。ここの混浴の千人風呂は有名ですね。入口は男女別だが、中は一緒になっています。広々とした浴室には、熱湯(あつゆ)の浴槽、四分六分の浴槽、湯滝そして冷まし湯とあります。熱湯(あつゆ)の浴槽、四分六分の浴槽は特に仕切ってないですが、真ん中で女性用と男性用に分けてています。2階にはと玉ノ湯という男女別の小さな風呂があります。湯質は同じだが、浴槽は小さく10人も入れないでしょう。ただ、こちらではシャンプー、石けんが使えます(置いてあります)。

○9/15 八甲田山:酸ヶ湯〜仙人岱〜大岳〜上毛無岱〜下毛無岱〜酸ヶ湯
 夜半まで激しかった風雨も納まってきたが、朝方は雨が残っていました。朝食をとりながら、「雨だけでもやんで」と外を眺めていました。願いが通じたか、7時頃には雨もあがり、出発した8時には青空も顔を出し始めました。
 八甲田山には沢山のピークがあり、どこをどう歩くか迷いますが、今回は酸ヶ湯から一番オーソドックスな周回コースをとりました。花のシーズンも終わり、紅葉・草紅葉にはまだ早い端境期ですが、まろやかな小高いピークがぽこぽこ顔を出す童話のような世界、上毛無岱・下毛無岱の広々とした高層湿原を堪能できました。
酸ヶ湯の上の駐車場横の登山口から登り始め、地獄湯の沢を通り、仙人岱。石油ストーブまで置いたヒュッテ/避難小屋があります。

地獄湯の沢

仙人岱の元湿原

仙人岱から大岳

仙人岱ヒュッテ

八甲田ホテル、酸ヶ湯

仙人岱と硫黄岳

池と硫黄岳

オタマジャクシ
大岳の途中から見た展望。硫黄岳をバックにした池にはモリアオガエルかヤマアオガエルのオタマジャクシが。

そして八甲田山の最高峰である大岳の山頂です。天候は回復し青空ですが、少し霞がかかった感じで青森市、十和田市がうっすらと見えますが、北海道の展望はきかずでした。

大岳山頂

十和田市方面

青森市方面

山頂より大岳ヒュッテ、上毛無岱、下毛無岱へ

大岳ヒュッテと赤倉岳

大岳と大岳ヒュッテ

上毛無岱湿原

上毛無岱湿原

下毛無岱湿原

湿原から大岳

遠くに岩木山

下毛無岱湿原

下毛無岱湿原

コケモモ?

花は殆ど終わってしまい、湿原のミズバショウも大きな葉っぱがぐったり。上毛無岱、下毛無岱を通って酸ヶ湯に戻り、駐車場の前にある「辰五郎の湧き水」で美味しい水をいただく。しばらく休憩して十和田湖ゴールドラインを南下、奥入瀬を経て十和田湖へ移動。

○余談
 十和田湖で一泊して、翌日の9/16は再びゴールドラインを通り奥入瀬、酸ヶ湯に戻りました。ブナなどの原生林の中を通るゴールドライン、紅葉・黄葉の時期は素晴らしいでしょうね。途中、睡蓮沼に立ち寄り酸ヶ湯へ。

奥入瀬

睡蓮沼

ゴールドラインから

酸ヶ湯から八甲田山ロープウェー駅に行きましたが、曇り空で見晴らしはもうひとつ。ロープウェーは中止して、その先のねぶた会館そして八甲田山の雪中行軍の遭難資料館を見学。
ねぶた会館では山車を引かせてもらい、跳人もやらせてもらいました。山車は、ワイヤーで形を作り和紙を貼って彩色、中に電球を入れるようです。昔はどうしたんでしょうね。ロウソクですか、油行灯でしょうか。けっこう火事もあったのでは?
青森ではネブタ、弘前ではネプタ・・語源はなんでしょう。会館の説明書では、「七夕の行事と日本古来の”ねむり流し”という禊ぎの風習が習合した」とか。会館の外に念仏陀と書かれた幟が立っていました。成る程と思って、地元の方に尋ねてみましたが、「うん???」といった反応、どうも最近になっての当て字のよう。
遭難資料館です。雪中行軍はシベリアの戦闘に備えての訓練だと思ってましたが、実はロシア軍が日本に侵攻してきたときに備えてのものだったとか。
遭難した青森隊は、ほんの少しの距離を行って温泉で一泊の予定だったようです。写真に出てますが、同時に出発した弘前隊は八甲田山をぐるっとまわる長距離を行軍する本格的なもの。前者が遭難し、後者は成功とういのも、いろんな条件の重なりが起こした不幸な出来事だったのでしょう。なお、青森隊の隊長の山口少佐は救助されて入院中に軍に殺害されたとか。厳しいですね。