八ガ岳:硫黄岳、天狗岳
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NIFTY山フォーラムの前の草の根BBSなどに関係していたときの記事から流用です。
    ・・・2011/09/07。

行程  1993年7月28、29、30日
  7/28 横浜市内=茅野=(タクシー4160円)=美濃戸-美濃戸山荘-行者小屋-赤岳
  7/29 赤岳-横岳-硫黄岳-天狗岳-黒百合
  7/30 黒百合-麦草-坪庭

八ヶ岳漫遊(^_^)

 7月28、29、30日と八ヶ岳に行ってまいりました。

 初日は、朝一番のあずさ81号で出発し、南八ヶ岳の赤岳天望荘泊まりです。翌日は、北八ヶ岳の高見石まで縦走。明けて縞枯山経由で坪庭まで出まして、れいのピラタスロープウェー(無事、動いてました(^_^))で下山、蔘科温泉で汗を流して帰ってきました。連れ合いと行く八ヶ岳もこれで4年目になりますが、こんなに天候に恵まれたのは初めてです。初日、2日目と南アルプスに富士山はもちろん中央アルプス、北アルプスとばっちりの眺望が得られました。

 さて、茅野駅からタクシーで美濃戸(4160円)まで入り、南沢コースで行者小屋に出ます。「ヤナギラン」の群生、可憐な「オダマキ」が迎えてくれます。例年、行者小屋周辺には色とりどりのテント集落が見られますが、今年はこのところの天候のせいか、ひとつ、ふたつと設営されているだけの寂しい状態です。
 豊富でおいしい水を楽しんでいますと、横から懐かしい「なまり」の話し声がします。同郷の徳島出身で高知県から来た69歳の男性をリーダーに中年の女性二人のパーティーでした。黒百合の方から縦走して来たとの事で、いやあ元気な事。北アルプスは言うに及ばず、あちらこちらを歩かれているようです。
 すっかり話し込んでしまい、次の地蔵尾根のとっつきを考える事なく、何気なく出発したのが失敗。行き止まりのゴミ捨て場に迷い込むは、文三郎道に入ってしまうわで、20分をロスしてしまいました。小屋まで引き返すと、なんの事無い、全く違う位置に立派な標識があるじゃないですか。
    ===休憩前には、次の取り付きを確認しておきましょう(^_^;)===

 赤岳の山頂小屋は改築で7月一杯は宿泊できません。今回は、山頂手前の天望荘泊まりです。下から見た時に稜線で巻いていた雲もとれ、夕方からは素晴らしい眺望が得られました。下までくっきりと稜線を浮かびあがらせた富士山、雪の残る北岳を中心とする南アルプス、その右には目の前の阿弥陀岳を挟むように、木曽駒ヶ岳と御岳の中央アルプスが広がります。北アルプスは乗鞍岳、穂高連峰に天に突き出す槍ヶ岳はもちろん、立山から白馬連峰まで一望出来ます。
 小屋も空いていまして、大部屋でも悠々と足を延ばせるというラッキーさです。ただし、この天望荘の登山者に対するあしらいは酷いです。できるだけ敬遠されるようにお勧めします。接人態度(山小屋ですから接客とは言いません。常識的な人に接する態度です)が、筆舌に尽くしがたい酷さです。一生懸命にやっているようではありますが。 まあ、横になれて食事が出来れば、どうでも良いわけですが、不愉快にはなります。お茶がどうたらで大喧嘩したお客がいまして、「もめごとが起きたので、お前等の食事が遅くなるぞ」とワザワザ言いつけに来ました(^_^;)。そういう目で見るわけではありませんが、小屋の整理状態も外の残材の片付けも稜線の他の小屋がきちんとしているのに、手当たり次第に投げ出したといった感じです。

 翌日は、日の出をあとに6時に出発です。実は、ここから横岳-硫黄岳の縦走コースは昨年予定してましたが、ガスで見通しが悪く、風雨も強かったために諦めたといういわくつきのところです。今回は、天気もよく、風も殆どないという絶好の日和です。案内書では、「スリルに満ちた岩稜帯」だ「カニの横ばい」だ、「コースを失ったら引き返せ」だと恐~い事が書かれています。山徘徊のど素人としては緊張の瞬間です(^_^;)。
 昨日通った地蔵尾根を過ぎると二十三夜峰というところから、いよいよ岩と鎖が始まります。確かに、両側が切れ落ちた岩場をヘッピリ腰で登り下りするのは緊張しますが、岩の間から顔だしている花が目を楽しませてくれます(花の名前が苦手な私でも感激します)。花の写真を撮っている方に黒百合を教えて頂きました。小振りの墨絵のような可憐な花なんですねえ。こうして、日の岳、鉾岳、三叉峰、無名峰と冷や汗かきかき通り過ぎると横岳の奥の院に到着です。
 そうだ、日の岳で「かもしか」に出会いました。連れ合いが犬がいるというので、切り立った岸壁の上を見ると「かもしか」じゃないですか。そら写真だと大騒ぎ。ところが、この「かもしか」、堂々とした王者の風格で、ふーふーと近くまで這い登って行っても逃げようとしません。じろりと睨むだけです。気圧されて最敬礼した後、目の前で写真に収まって頂きました。
 横岳からは、「カニの横ばい」という鎖場と斜面に渡された鉄板の難所を越えると大ダルミを経て、浩の宮殿下宿泊という石碑のある硫黄岳山荘に到着です。随所に「しゃくなげ」、「こまくさ」、「ウルップ草」などが咲いています。
 さて、出発してから硫黄岳山頂までは3時間ちょっと。まだまだ元気です。茅野からずっと一緒だった小学生の男の子とお父さんと別れて、一気に夏沢峠を目指します。夏沢峠、樹林帯の箕冠山を過ぎて、岩の盛り上がった根石岳の日陰で昼食です。そろそろくたびれてきています。まだ、天狗に黒百合、中山かと思いながら重い腰を上げます。根石岳から天狗岳までの石礫を敷き詰めた緩やかな「下って登る縦走路」が遥か長~くのびていて、天望荘から一緒だった先生3人のパーティーが小さな人形のように見えます(^_^;)。

 天狗岳から「天狗の奥庭」の岩を敷き詰めたようなコースに入ると、そろそろ周りの景色を楽しむ余裕もなくなり、黙々と黒百合ヒュッテのビールと水場を思いながら、ひたすら歩きます。で、肝心の黒百合ヒュッテですが、今年は水が少ないらしく水場が使えません。殆ど水の流れていない水路に造られた井戸のような所で、色のついた飲み水をもらうのが精一杯。一昨年は、豊富な水で身体を拭く事も出来たんですが。
 黒百合までに7時間かかっています。前述の先生パーティーはここで泊まりですが、我々は、「ちょっと欲張り過ぎたか」と反省しながら、中山経由で宿泊予定の高見石まで牛歩戦術の開始です。まあ、16時というそれ程非常識でない時刻に高見石に到着できましたが。ずっと良かった天気の方も草臥れたのでしょうか、雲がかかり、ガスが出て来始めました。というわけで、ランプにクロカンと天体観測で有名な高見石小屋ですが、夜空の観察は中止です。なお、ここでも総勢14名の宿泊でのびのびとできました。

 明けて3日目は、のんびりと北八ヶ岳の散策です。いかにも北八ヶ岳らしい苔むす樹林帯の丸山から無名峰を越えると国道299号沿いの麦草峠、赤い屋根がかわいい麦草ヒュッテに出ます。ここで朝食をとり、茶臼山・縞枯山と縦走すると、雨池峠に出ます。ここからは、山歩きというより手軽なハイキングコースです。ピラタスロープウェーから来たと思われる軽装のハイカーの中に、山歩きの格好をした人がたまにいるといった感じになります。
 縞枯山荘の前を通り10分くらいでロープウェー駅のある坪庭に出ます。一周20分ほどの溶岩台地に、多分植えたものと思われる高山植物を「ウリ」にしている坪庭には、流石に観光客が大勢います。

 ロープウェーからバスで20分くらいのプール平は蔘科温泉になります。バス停裏にの東洋観光には、公衆浴場の雰囲気ですが、350円と安く、もちろん山歩きの汚い姿でも嫌われない温泉があります(^_^)。油断して、赤エビのように焼けた腕と首筋の痛みを我慢して浴槽に手足をのばし、「ああ、天国」。
 リタイヤされてから、周遊券を使った「のんびり旅行」とか「ハイキング」に「安い公的な施設を利用する」といった楽しみをされている方もおられて、味わいのある話も聞かせてもらいました。

 さて、風呂から出ますと、本降りの雨じゃないですか。いやあ、今回はラッキーでした。というわけで、この夏一回目の山歩きを楽しんできました。

    勝手に遊んで来て、長文のアップをしてごめんなさいのXXXXX(本名)
    ・・・2011/09/09 この記事は職場のネットワーク掲示板にアップしたもののようです。