八ヶ岳 赤岳
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 NIFTY山フォーラムに参加する前の草の根BBSでの山行きレポを転載です。もちろん、まともなデジカメもなく、銀塩カメラによる記念写真くらいしかありません・・・2011/09/09

行程  1992年7月31、8月1日
 7/31 茅野=美濃戸口-行者小屋ー文三郎尾根-赤岳山頂ー赤岳山頂小屋石室

 8/1  赤岳山頂小屋-地蔵尾根-行者小屋-美濃戸口=茅野
        (計画では横岳にピストン、赤岳から県界尾根で清里側に下山。
         しかし悪天候で断念し、地蔵尾根を行者小屋に下山、茅野駅に戻る) 

 1年振りに二人で南八ガ岳に行ってきました。

 今回は、茅野からタクシーで美濃戸口まで入り、行者小屋経由で文三郎道から赤岳頂上に行きました。約6時間半で頂上小屋に入ったのが16時を過ぎ、金曜にも拘らずもうすごい混雑です。すでに布団ひとつに二人の状況で割り込むことも出来ません。幸い、前もって個室予約をしていましたので、6人相部屋ではありますが、ひとつの布団にゆったりと横になることが出来ました(^_^)。

 さて、行者小屋までの途中の森の中で休憩している時の事です。登山道の片側は灌木の斜面になっていました。さあ、歩きだそうかと立ち上がった時に、斜面をガサガサと這い上がってくる音がします。音からすると、人間かそれより大きい動物の感じです。一瞬、緊張し、灌木の隙間から窺うと、毛で覆われた大きな頭らしいのものが見えます。この時です、連れ合いが私を前に押し出して、後ろに下がったのは。決して、後ろに隠れるなぞという生易しいものではありません。まるで、餌を差し出すかのように押し出されてしまいました(^_^;)。いえ、熊ではなく、カモシカでしたけどね(^_^)。それにしても、こんなまじかにカモシカを見たのは初めてです。

 行者小屋までは沢沿いの森の中を登る普通の道ですが、行者小屋から上の文三郎道は、ハイマツ、しゃくなげの中を歩く鉄階段と鎖の急斜面となります。ここを登りきると赤岳から阿弥陀岳への稜線に出ます。赤岳方面を見るとまるで、海面に突き出した岩島というか、西部劇でインディアンが狼煙をあげる台地というか、ゴツゴツとした岩場が広がっています。ここは、もう鎖頼りでよじ登っていく感じです。ひさしぶりに楽しめました。

 そして、頂上では 17時を過ぎるとガスが出始め、風も強くなって、星空も見えません。

 翌日は、ガスと風に加えて横殴りの雨も降り始めました。視界が2~3mですし、予定していた横岳までの縦走は諦め、少し下の赤岳石室から県界尾根を下り、清里に出る事にしました。
 ところが、この赤岳石室から県界尾根までの道が曲者でした。石室の親父さんにきくと、「危険なトラバースになるため、標識をはずした。もう、雪渓も小さくなっているから大丈夫だろう」と心細い返事です。しかし、清里方面に出るには、県界尾根に出ざるをえないし、まあ行ってみるかと挑戦しました。ところがどっこい、これがすごい道でした。蟹の横ばいも岩場だとまだ足場があって安心感がありますが、これが全くのザレ道で、下は・・・・・・落ちるとまず助かりそうもない。冷や汗をかきながら、なんとか前進していきましたが、どうにも県界尾根が見つからない。標識はおろか目印もない。視界が2~3mのため、見通す事もできない。とうとう諦めて、来た道(ありゃ道かね)を引き返しました。

 というわけで、石室までもどったのはいいんですが、さあ、これからどうしよう。予定の反対側の行者小屋に下る地蔵尾根が近くにある筈。必死に探しますが、悪視界のためさっぱりわからない。往生しました。ここらかなと下をのぞいてみると、切り立った岩の列です。こんなとこ下りられやしない。
 そうこうするうちに、いかにも山男という3人の集団がガスの中から現れてゆうゆうと、岩の列の中に入っていきます。これだ、彼等についていこうとしたところで、手間取ってしまい、あれれという間にガスの中に消えてしまいました。あらためて見ると、どうにも下れるような場所じゃない。ふんぎりがつかず、ウロウロしてますと、前日に地蔵尾根から来た人達と出会って、案内してもらい、無事に下山できました。それにしても、あの3人の山男集団はなんだったんだろう?

 縦走予定で、時間をたっぷりととっていましたので、余裕があり助かりました。初めてのコースだと、視界が得られなくなると、ほんと身動きできませんね。

2011/09/09
 この時が南八ヶ岳は初めて。その前は北八ヶ岳のツアに参加したが、本格的な八ヶ岳歩きはこれが最初かも。

 熊と間違えたカモシカとの遭遇とか、まだ雪が少し残っていた県界尾根への道が崩壊して見つからなかった事とか、小屋まで引き返して地蔵尾根に行こうとしたが視界不良で動けなかった事など多彩な経験ができた山行きでした。
 ところで赤岳石室の近くで地蔵尾根への道を探しているときに、霧の中からふーっと現れた屈強な3人の男性は何だったのでしょう。3人とも背が高く、青色の雨具をつけていてまるで鏡に映したように同じスラリとした長身の体型をした青年達でした。慌ててついていこうとしたとき、靴の紐がほどけているのに気付き締め直している間に霧の中へ消えていきました。その後をおそるおそる進むと、なんと崖。とても普通には歩けません。いま思えばクライミングをする岩壁じゃないかな。私はいまでもあの3人は実在の人ではなかったと思っています。